« 2003年10月 | トップページ | 2003年12月 »

2003/11/30

non title

久しぶりに読書の日曜日。
インターネットでニューヨークに関する本を探していたら、千葉敦子の「ニューヨークの24時間」が目にとまり、確か本棚にあったな、と探して読み始める。
千葉敦子はフリーランスのジャーナリストで、87年7月にニューヨークで癌のため亡くなっている。私が87年2月にNYに行ったとき、彼女はあの街で必死に生きていたことになる。「必死で生きる」というこの言葉は、切ないけれど、正にこのときの彼女の姿であったのではないだろうか。
死を予感してか、彼女の生活において無駄をいかに省くかがテーマとなっているこの著書からは学ぶべきことが多い。
この本のなかで、日本でのコンピュータの普及の遅さを嘆いているのだが(80年代はPCも携帯電話も日本では遠いものだったから)、もし千葉さんが今の日本を見たら、きっとびっくりすることだろう。
インターネットの普及は私たちの生活を大変便利にしているし、欠かすことのできないものになっている。(少なくとも私には)
この本を読み返してみて、最初に読んだときに気づかなかったことに気づいた箇所がいくつかあった。
それは、最初に読んだ当時、私はまだヴィレッジについてあまり詳しくなかったからだ。
千葉さんはヴィレッジにアパートを借りて住んでいたようだ。きっと私が最近滞在しているホテルの近くだったのではないだろうか。
よく利用したという公立図書館の分館のひとつであるジェファーソン・マーケットのことが書かれており、私もそこに足を運んだ。
また、ブロードウエーと東12丁目にあるストランド・ブックストアのことも書かれている。この古本屋のことは1年前に知ったのだが、まさか80年代にあったなんて。
千葉さんは私の好きな80年代のニューヨークを生きた人である。そういう意味で彼女がとても羨ましく思える。そして、千葉さんが見たさまざまなニューヨークの一部をいま見るとき、彼女があの街に確かに生きていたことを感じるのだ。
この本は落ち込んだときに自分をものすごい速さでポジティブにしてくれる一冊である。
ページをめくっていき、最後のページに「1990.7.7 N.S.読了」と書かれているのだが、誰?
誰かに貸したのだと思うが、思い出せない。時の流れを感じる。

2003/11/17

non title

土曜日、仕事が終わってから、久しぶりに映画を観に行った。
「逢いたくて」 2002年 フランス映画
舞台はパリとニューヨークと一部ボストンが出てくる。
主人公(カトリーヌ・ドヌーヴ)は映画「めぐり逢い」に自分とかつての恋人を重ね合わせ、日々を送っているのだが、とあることがきっかけで、エンパイア・ステートビルの展望台で再会しようという手紙を得る。
普通だったら、薄っぺらなロマンス映画になりがちなストーリーだけど、ベテラン女優と、かの「エンパイア・ステートビルで」ということが、この映画を本物に仕上げている。
しかし、人生というものは変化していく。いつまでも過去や夢にしがみついてはいられないのである。途中、何歳になっても恋をしている人は可愛らしくていいなって思わせるシーンがある。
この映画でドヌーヴが履いていたすべての靴はマノロ・ブラニクとのことで本当に美しい。
この映画のなかでドヌーヴが何度も「めぐり逢い」を観に行くシーンがある。決して映画マニアなんかではなく、その映画が彼女の人生において必要だから観に行き、涙し、余韻のなか劇場を後にする。そこがなぜかジーンときてしまう。

2003/11/12

ニューヨーク 知ったかぶり

常盤新平 著
ダイヤモンド社

著者が訪れた80年代のニューヨークがぎっしり詰まった本だ。
常盤新平のニューヨークは、私の知っているニューヨークと重なる部分が多い。(共感できる)
それに、ピート・ハミルやニューヨーカーの編集長に取材をしているところなどは尊敬に値する。
以前に何度も書いているのだが、80年代のニューヨークを見たことがあることは、私にとって大きな宝物であり、この本は当時のNYに関心のない人にとっては古い情報に過ぎないかもしれないけれど、私にとっては違うのである。今読んでも不思議なことにワクワクするのだ。

このなかに「ベスト・オブ・ニューヨーク」というコラムがある。
雑誌『New York』に1985年12月に特集されたニューヨークのベストを選ぶという記事を紹介している。

名士たちにニューヨークのベストとワースト。
当時の市長であったコッチ市長のベストはメトロポリタン美術館、ワーストは落書きだらけの地下鉄。
イヴ・サンローランのベストは『ヴォーグ編集長』ダイアナ・ヴリーランド、ワーストはエイズ。
ニューヨーカーの作家ヴェロニカ・ジェングのベストはメッツ、ワーストはヤンキースのオーナー、スタインブレナー。
不動産業者のモーティマー・ザッカーマンのベストはメッツのピッチャー、ドワイト・グーテン、ワーストはアパートの修理。
作家ジェイ・マキナニーのベストはニューヨークの夜、ワーストはニューヨークの朝。

編集者や執筆者が選ぶニューヨークのベスト。
床屋のベスト:リージェンシーホテルのフランス人レイモン・ジェフロワ
刑事のベスト:ニューヨーク市警察のロバート・ギャラガー、38歳
ホットドックのベスト:カーネギー・デリのホットドック(4ドル25セント)
映画のベスト:『成功の甘き香り』(1957年)
摩天楼のベスト:クライスラー・ビルディング
エレベーターのベスト:クライスラー・ビルディング
エスプレッソのベスト:ヴィレッジのカフェ・ダンテ

などなど。

私にとってのベストは、ニューヨーク公立図書館。
ワーストはエンパイヤー・ステイト・ビルディングの展望台へ並ぶ長蛇の列。

2003/11/10

non title

土曜日に仕事が終わってから、フィンランドの美術展を見に県立館林美術館へ行った。
初めて通るような場所を進み、多々良沼というところを過ぎてすぐ、広々とした敷地が見えてくる。晩秋の荒涼とした雰囲気がモダンな美術館の外観を引きたてていた。
駐車場から建物までの通路脇には、水が張ってあり、建物サイドからなめらかに流れ渡ってくるようになっている。
冷たい外観の建物だが、自然の中に措かれた均整のとれたフォルムを見ると、なぜか心が落ち着く感じがする。こういう雰囲気(景色も空気の温度も)大好きだ。
夕方、閉館時間が近づくころには、ガラス張りの廊下から、ほのかにライトアップされた常設展示の建物が夕闇に浮かんでいるように見えて、そこだけ特別な空間のよう。

昨年、アテネウム美術館に行った際、とても好きになったフーゴ・シンベリという画家がいて、まさにその作家の、アテネウム美術館で見た絵が来ていたので、感激してしまう。
シンベリの絵になぜ惹かれるのか。彼の絵の多くは「死」を意識している気がする。死神や天使や骸骨などがモチーフとなっているものが多い。人生の暗い部分を常に意識している姿勢。そんなところからなのか。でも、それだけではないような気もする。彼の描くフィンランドの景色も好きだから。多分、その色合いが好きなことと、人物や死神などがリアルではないところが変わっていて好きなのだと思う。

下の絵はシンベリの風景画。好きな一枚。
title:Spring Evening during Ice Break 1897

« 2003年10月 | トップページ | 2003年12月 »

twitter

  • twitter
無料ブログはココログ