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2004/06/19

ニューヨークの古本屋

常盤新平 著
白水社

「老い」を意識しはじめた著者が、過去訪れたニューヨークを振り返り、また99年に「最後になるだろう」ニューヨークを訪ねたときの記録となっている。常盤新平という人は、NY通中のNY通なのだと思ってきたが、この本を読むと決して「通」ではないように感じる。ただ彼は自分の「好きな場所(書店やホテル、バーなど)」に繰り返し通いつめ、味わっている、ただそれだけだ。

さらに著者はこれまで私生活については言及してこなかったのだが、本書では繰り返し自身のことについて触れている。いわゆる「不倫」を実らせた少数派であることを、私は初めて知った。本書のなかでその過程を語っているわけではない。ただ、新しく妻となった人が時折現れる。それはあたかも、長い年月中途半端な状態にあった(作家として表現してあげることのなかった)相手を、この本をもって正統化してあげているかのように思われ、常磐新平という人の人間性を感じることができた。70歳を過ぎた現在、人生の終盤を迎え、遅まきながら相手にしてあげられる唯一のプレゼントのように私には思えた。

文章の数ヶ所に「(NYの)ここに来るのは最後だろう」という文章があり、淋しさを覚える。

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