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2006/03/01

ニューヨーク遥かに

常盤新平 著

集英社

大原という初老の主人公が、間宮というやはり初老の友人に会いにニューヨークへ行く。間宮は80年代にマンハッタンで寿司屋を開店し成功をおさめた人物であるが、最近、突然経営から身を引く。大原はその理由を求めて、自らも愛着のあるニューヨークで一週間を間宮と過ごす、という内容。フィクションとあるが、私は、大原は著者である常盤新平自身、そして間宮も実在の人物がモデルになっていると思う。それは、最近までに出版されてきた著者のエッセイなどを読んでいれば、誰もが想像ついてしまう。その点が、常盤新平は、小説家としては下手なのかもしれない。でも、不思議なことに、この小説にのめりこんだ。読み終えて、なぜかと考えると、著者のニューヨークへの思いが、自分のそれにとても近いことを感じるからだと思う。以前は本や映画のなかだけのNYが、旅行がたやすくできる時代になり、実際訪れてみると、やはり想像どおり魅力的で。気に入った部分はとことん好きで、何度も足を運んだり。それは、たいしたことないハンバーガー屋だったり、古本屋だったりで、高級なレストランや有名ブランドショップではない。ただ街を歩いているだけで感慨深くなる。そして、お気に入りの場所を歩きながら、過去を振り返ったり、これからのことを考えたりとニューヨークを見物しながら自分自身を見ている。そんなところを自分と重ね合わせて読んでいた。

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