« パリは眠らない | トップページ | とるにたらないものもの »

2006/10/02

Finnish vase

  その街に到着してから、木造の街並みを、簡素で可愛らしい雑貨屋やレストランが立ち並ぶ石畳の道を散策した。入り口にメニューを紹介しているレストランがあると、ランチはどこで食べようかと、お店を覗きながら歩いていると、モスグリーンの清潔な佇まいの小さなアンティークショップがあって、自然に店内に入っていた。店先にワゴン車が止まっていて、店主らしき人がひとりで品物を運び込んでいるようだった。彼は店内にいる私を見つけると「すぐに来ますから、お店の品を眺めていてください。」と声をかけてくれた。Helsinki_156_1
 最初に目が留まったのは、高さ20センチほどの繊細な花瓶だった。それは鍵のかかるショーケースに展示されていて手に取ることができず、店主が来るのを待った。「あの花瓶、おいくらですか?」と尋ねると、日本円にして2万円くらい。「高価なものなんですね。」と言うと、テーブルの上にあるカタログを見せてくれて、「この花瓶と同じイギリスの作家のものです。ほら、これは○○ユーロとあるでしょう。だからその花瓶の値段は妥当な額ですよ。」と説明してくれた。実は友人へのお土産なので、それはちょっと高価すぎると言うと、「ちょっと待ってて。」と言って彼は奥の部屋からとてもシンプルな少しみどりがかったガラスの花瓶を持ってきた。5ユーロ。それならお土産にちょうどいい。それにその花瓶の形は、上3分の1の位置で少しくびれていて凝っているように思えた。でも、他にも見て回ってから決めたかったので、「一回りしてから、もしかしたらまた来ます。」と言って私はその店を後にした。 

 その街、ポルヴォーはヘルシンキからバスで1時間走ったところにある、フィンランドで2番目に古い街だという。ポルヴォー川に沿って静かな家並みが続いている。小高いところには街のシンボルの教会が建っているが、立ち寄ったみやげ物の女性の話では、なんでも最近火災にみまわれたらしく、現在修復中であった。

 ヘルシンキへはフェリーで帰ることに決めていた。フェリー乗り場に行かなければならない時間ギリギリまで歩き回った結果、私はあのアンティークショップにまた向かった。私の姿を見ると、店主は少し笑みを浮かべたあとすぐに奥からあの花瓶を持ってきてくれ、薄紙にくるんで「これに合う小さい袋がないから大きい袋になりますが・・・」と言うので、「いいえ、そのままで結構です。」と、それをを受け取り、5ユーロ支払った。彼は丁寧に領収書を書いてくれた。私は簡単な自己紹介をして、店主の名前を伺った。すると、彼は握手をしてくれて、ネームカードをくれた。

5ユーロのガラスの花瓶は、あれからしばらくたった今も、私の手から離れずにいる。200610022318000

« パリは眠らない | トップページ | とるにたらないものもの »

twitter

  • twitter
無料ブログはココログ