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2007/06/16

GARAKUTA

がらくた

江國香織 著

新潮社

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まず装丁が好き。何故だかわからないけれど、私はアメリカのすっきりした木造の家屋を描いた絵に惹かれる。

この「がらくた」は、二人の主人公が交互に語るスタイルで構成されている。「冷静と情熱の間」を思い出させる。同じ空間に存在しても、人は相手がどう自分を見ているかについては未知の世界。だからこの小説のスタイルは面白い。ただ、「冷静と・・・」が異なる作者によって二人の人物を描いたのに対し、「がらくた」は江國ひとりから生まれた2つの感情だということが終始頭から離れず、であった。(結局、ひとりの人間から生み出された、ということが)

江國香織の小説に出てくる人の名前が好き。柊子とか桐子とか。ちょっと冷たい感じのする名前。冷静な人のような印象を与える名前。実際、小説のなかの登場人物はみな冷静な人たちだった。

私は二人の主人公のうち、自分に年齢の近い柊子にどうしても感情移入していた。結局、夫婦や恋人の本心をコントロールすることはできない。自分の希望どおりにはいかない。ならば、そのことも引き連れてしまおうという柊子のスタンスが、冷めているように見えて実はとても情熱的な気がした。

読んでいて気づいたのは、むやみに漢字を使わないこと。「飲む」は「のむ」と、「開ける」は「あける」としてある。なるほど、そのほうがいい、と思う。

以下、気に留まった文章(本文より)

■雨が続いている。私は秋という季節が好きだ。物がみな、あるべき姿に戻る季節という気がする。(柊子)

■私は思うのだけれど、あの一家はみんな、目の前にいる人間を目の前にいる人間としてしか見ないのだ。・・・略・・・ だから私は存在できる。(美海)

■私は自分の気持ちが正しい位置におさまっていくのを感じる。(美海)

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