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2007/10/21

City of Glass

「ガラスの街」

ポール・オースター著 柴田元幸訳

雑誌 Coyote No.21 October 2007

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すでに文庫本化されている同小説を、いま人気の翻訳家である柴田元幸が新訳として発表したということで、ここ一週間、仕事のあとの楽しみとして読んでいた。以前読んだときもどきどきしたに違いないが、今回も先が知りたくて知りたくて(一度読んだのにすっかり細部を忘れていたせいで)、毎日見切りをつけて本を閉じなければならないのが惜しいほどであった。部分的に山本氏と郷原氏の訳したものと読み比べてみたりもして、やっぱり柴田元幸は上手いなぁ、と思う。村上春樹なんかもそうだけど、やっぱり、自身も小説を書く才能がある人が翻訳すると素晴らしい。また、柴田はオースターと対談をもしている。しかも、ブルックリンにあるオースターの自宅で!

この物語の出だしはこうである。

「そもそものはじまりは番号違いだった。真夜中に電話のベルが三度鳴り、電話線の向こう側の声が、彼でない誰かを求めてきたのだ。」

舞台はNY、原書の出版年は1985年である。

これだけで、もう本のなかに引き込まれてしまう。

一瞬、これは探偵小説なのかと間違われそうだが、違う。そして、結末は読者の期待どおりではなく、だからといって決して期待を裏切るものでもない。しっくりこないようで、焦点をスティルマンではなく、主人公クインにあてると、不思議なことに合点がいくように思える。クイン自身のストーリーとして置き換えることによって。

途中、クインがマンハッタンを徒歩で南へ北へ、東へ西へと彷徨うシーンがあり、南へ下ったときに、世界貿易センターの一方のタワーのロビーの公衆電話から電話をかける箇所がある。タワーが、この小説に登場していたことにちょっと興奮してしまう。何故って、ここでは永遠に在り続けるのだから。

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