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2008/09/21

Coyote No.29 サンフランシスコ クロニクル

雑誌 Coyote (スイッチ・パブリッシング発行)

特集に興味があるときだけしか買わないが、良質な内容で最近のお気に入り。ニューヨークやフィンランド、そしてサンフランシスコ・・と、自分が旅したことのある国や都市を特集したときに、これ以上の読み物は現在のところほかに見当たらない。たぶん、ガイドブックやインターネットからは得られない、その都市にまつわる「文学」や「文化」について豊富に語られているからだと思う。この号ではサンフランシスコにゆかりのあるリチャード・ブローティガンの短編が柴田元幸によって翻訳され、掲載されている。それから、片岡義男による「サンフランシスコ再び」というエッセイがすごくいい。

No.29の「サンフランシスコ クロニクル」は表紙も素敵だ。

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アメリカ文学を語るとき、今や柴田元幸は外せないが、この雑誌でもたびたび、彼が特別に訳した短編などが掲載される。この号ではバーナード・マラマッドの「最初の七年」といのも紹介されている。ポーランドからの移民の靴屋の主人が、毎日店の前をとおり大学に通う青年と一人娘を引き合わせて結ばせようと試みるが、うまくいかず・・・、それを知った勤勉な靴屋の使用人が突然店を辞める。主人は使用人の娘への思いを知らず知らずのうちに気づいていたのだが、娘を自分の女房と同じ貧しい“靴屋の女房”にさせるのが怖くて、そのことを認めないできたのだ。タッチがコーゴリの「外套」に似ていると思った。引き込まれる。季節が「冬」で舞台が「靴屋」というのも、物語をことさら浮き上がらせているように思える。

たまたま、この号は、オキーフについての特集も載っていた!彼女のアトリエやキッチン、ニューメキシコの大地がその大きな窓から一望できる寝室など、写真に感動してしまう。キッチンの棚にある鍋や食器など、見ているだけでうっとりしてしまう。

サンフランシスコは、旅行先に選ばれる街か?というと、以前は大変人気があったと思うが、最近は下火のようだ。街でもあまり日本人を見かけなかった。私個人としては、そういう、一時の熱が冷めたような哀愁のある雰囲気に魅力を感じてしまう。だから、今回旅してよかったと思う。一般的にサンフランシスコは“かつての熱気”をベトナム戦争反対運動や、ヒッピー文化が象徴している、ということも、このCoyoteから学んだ。旅から帰ってきて、日常が押し寄せてきて、ふと仕事帰りなどに旅行のことを思い出すとき、この雑誌はよいお供となっている。

Coyote バックナンバー http://www.coyoteclub.net/catalog/index.html    

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