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2011/02/20

オリーヴ・キタリッジの生活

先日買った『オリーヴ・キタリッジの生活』を読み終えた。

短編集なのだが、オリーヴが主人公の編もあれば、脇役や通りがかりの役だったりする編もあり、一冊を読み終えたときにオリーヴ・キタリッジという女性について奥行きをもって理解することができた気がした。

オリーヴの人生は平坦なものではない。歳をとるにつれ、悲しみや怒りの繰り返し、やがて諦めの境地にも至る。誰かの不幸を確認できたなら、少しは自分の落ち込みをやわらげられるかもしれないなど思うが、実際はそんなふうに展開しない。苦しみや悲しみは、人それぞれの時間のなかで、少しずつ消化され、自分なりの解釈を繰り返し、時には感情が後戻りもして、なるようにしかならないことを知り、その状況に順応していくのだということを知るのだ。

オリーヴ・キタリッジという人物。傲慢だけれど、どこか憎めない女性。誰からも好かれる人ではない。でも、自分の人生を生きている。時には他人を救うときもある。彼女のごく自然な行動や発言の流れのなかで。読み進めるうちに彼女に愛着を感じる。オリーヴが主人公ではない編で彼女がある場面でちらっと通りかかったりすると、とても嬉しい気分になるような感覚があった。だから彼女が最後にかすかに生きることに前向きになれたとき、自分も勇気が湧いてきたのである。

私たちは誰しもオリーヴ・キタリッジなのかもしれない。

大西洋に面した小さな港町が舞台。ときおり描写される海の景色がなんとなくいつも寂しげで、そこに暮らす人々の心の背景になっているところも味わい深い。

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