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2011/12/08

NYのディナークルーズ

旅のこと。

一人旅が多いせいか、旅先ではデパートのフードコートや、カジュアルなレストランで食事を済ませることが多い。気張ってお洒落な食事などしようものなら、ちょっと場違い的な思いをするので、一応そのへんはわきまえているつもりだ。(いまは)

いままでで一番自分のことをばかだなぁ、と思った食事は、冬のニューヨークに行ったとき、オプションで申し込んだ「夜景を見ながらのディナークルーズ」である。あれは一人で申し込むものじゃないとあとから思った。申し込んだ当初、夜一人で出歩くのも危ないし、ホテルまで迎えに来てもらって船まで送ってもらって、ぼんやりマンハッタンや自由の女神を眺めながら食事をすれば、ラクだし間がもつし・・・などと考えていたのだが、いざ船に乗ったら私は一人なので小さなテーブルに案内され、ぽつんと一人、美味しい料理(お料理はまあまあ美味しかった!)とワインを堪能しながら夜のハドソン河に浮かんでいたのだった。

船内はまったく混んでいなくて、むしろガラガラだったのだが、だからか一層、自分が変に浮いているような感じもした。だいいち、見回す限り、一人で食事しているのは私だけなのである!友達同士や恋人同士、それに何かのお祝いをしているのか、20人くらいの団体もあちらの方に見えるという空間。夜景とともに、それらの人々の様子もおのずと目に入ってきた。そうでなくてもアルコールに弱いわたしは、船の揺れも手伝って自分でも可笑しく思えるほどクラクラしていた。それで、そうだ、デッキに出て冷たい風に当たって酔いをさまそうと思い、外に出てみた。そしてそこには誰もいなくて(それはそうだと思う。だってすごくすごく寒かったから)、もし、ここでフラついて川に落ちても、きっと誰にも気づいてもらえないかもしれないと急に恐くなり(ちょっと大げさだけど)、でも、目の前にある美しい夜のマンハッタンを、しっかり手すりにつかまったまま眺めてから、またテーブルに戻った。

船を降りるときに、年配の日本人のご夫婦が、わたしが一人だったことに途中から気付いたみたいで、「お食事のときにお誘いすればよかった」と声をかけてくださった。
もう10年くらい前のことだが、こんなことをいまでもよく覚えていて、自分でもおもしろおかしく思うくらい、実はぜんぜん惨めとか淋しかったとかは思っていなくて、そのときの旅では不思議な気持ちが渦巻いていたように思う。もしかすると、一人でいることを楽しんでいたようにも思う。だから、その日本人のご夫婦がテーブルを共にしようと実際誘ってくださらなかったことを感謝した(心の中で)。もしご一緒させてもらったら、きっとわたしは初めてお会いする人との会話に気を遣って、夜景を堪能できなかったかもしれない。時の味わい方、過ごし方は人それぞれなのだから。

それから余談だが、クルーザーが出るハドソン川の船着き場のところは、意外と殺伐とした雰囲気があると思う。でも、あまり垢ぬけていないぶん、船が岸から離れてそこから見える宝石のようなマンハッタンがいっそう強調されるような感じがするし、なんかこう、妙に創り込まれていない船着き場がわたしは嫌いではない。夜景を見るための出発点だからといって、船着き場がカッコつける必要はないし、船着き場は船着き場である。

食事にまつわる話はつきないので、まだまだつづく。

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