2016/07/04

教授のおかしな妄想殺人(Irrational Man)

すっかり更新を怠っておりました。

最近は手軽に発信できるツイッターやインスタグラムがメインで、ブログを書くのには、重い腰をよいしょこらと持ち上げなければならない感じです。発信スタイルは急激に変化していますね。近い将来「そういえば、昔、ツイッターとかフェイスブックっていうのがあったよね~」なんていうときが来るかもしれません。

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さて、先日東京へ出たついでに渋谷のBunkamuraで、ウディ・アレンの新作「おかしな教授の妄想殺人」を見てきた。

ウディ・アレンは御年80歳だそうだが衰えをまったく感じさせない内容で、いや、ますます彼らしさに磨きがかかっているとさえ感じた。主人公の大学教授(ホアキン・フェニックス)は、クレイジーで、ウディ・アレンの映画において必要不可欠な人物。本来なら監督本人が演じたいところだと思うのだが、さすがに高齢なので描きたい人物に対応できないのでしょうね。最近は別の役者に演じてもらうスタイル。そして、そんな大学教授に魅かれるのは、女学生(エマ・ストーン)。ドフトエスキーを読破したというセリフなどから、優秀な学生だと想像させる。

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この映画の見どころは、最初は見ているわたしたちは大学教授に共感し、決して嫌いではなく、エマ・ストーンと同様に彼のことをだんだん好きになっていくのに、教授が一線を越えた行動を起こしてからは、別人に見え、彼に対する見方に変化が生じるというところかな。
原題にもあるように「理性」がテーマになっていて、ギリギリの線で共感できることも、それを踏み越えてしまったら、まったく違う考えになってしまうことがよく描かれている。

わたしたち人は、日々退屈だったり、生きる気力を失いかけたりするけれど、ひょんなことがきっかけで活力が生まれてきたり、ウキウキ、ワクワク、ドキドキしたりするもの。誰もが日々、大袈裟なものではないけれど、生きがいや当面の楽しみを探しているのかも。でもそれは、誰かを傷つけたり、犯罪に手を染めたりするような類のことではいけない。「人間に与えられた理性」を発揮する(守る)ことが幸せになる秘訣なのだと映画は語っていたように思う。そのことは、終盤にエマ・ストーンが、教授がしでかした事実を知り、気持ちが冷めてしまう(それどころか嫌いになる)シーンが教えてくれる。

舞台はアメリカのとある町ということだが、おそらく東部。ときおり海岸のシーンが出てくる。古い落ち着いた大学町。教授の授業のシーンも少し出てきて、本来大学教育というものはこんなふうに進められていくんだったなって思い出させてくれる。

ホアキン・フェニックスって、映画で初めて見た。あのリバー・フェニックスの弟だとか。

そして、相変わらず音楽が秀逸。

前回のW.アレン作品「ブルー・ジャスミン」より後味は良い。

教授のおかしな妄想殺人 公式サイト

2015/09/22

わたしに会うまでの1600キロ

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映画「わたしに会うまでの1600キロ」見ました。

原題は “Wild” 

母親の死を乗り越えられず、人生を踏み外してボロボロになった主人公が、立ち直りやり直すことを決意して、アメリカのPCT(Pacific Crest Trail)を一人歩き始め、自分を見つめるストーリー。過酷なスルーハイキングで、主人公が苦しければこちらも苦しさを共感できたし、見えた景色が美しければ、まるでこちらもそこにいるかのようにそう思えた。こういう映画はとても珍しいと思う。アメリカの荒涼としたトレイルを歩くって大変なことだ。砂漠もある。自分には絶対にムリだけど、そういうところに身を置くとはどういうことか、映画でちょっとだけ疑似体験できたように思います。

公式サイト 「わたしに会うまでの1600キロ」

2015/08/15

ミッション:インポッシブル ローグネイション

(追記 9/4)

実はこの映画、2回目も劇場で見ました。やっぱりトム・クルーズは最高ですね。一緒に見た知人にどの場面が印象に残ったか聞いたら、レベッカ・ファーガソンの格闘シーンだとか。わたしは断然、トム・クルーズのカー&バイク シーンなのだけど。人によって違うものですね。久しぶりに有楽町の大スクリーンで見たのですが、冷房が効きすぎて寒かったなぁ。

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ここのところ記事を書かずにいました。

特記事項もなく夏が過ぎようとしています。

先日、久しぶりにレイトショーで映画を見ましたので、ちょっとだけ記録。

この類の映画は、トム・クルーズが主演でなければ見ないと思う。シリーズは(確か)すべて映画館に足を運んで見ている。

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オープニングからグイーッと引き寄せられますね。それにしても、スーツで飛行機に飛び乗るって!かっこ良すぎる。

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アクションでありながら、コメディーの要素も10%くらい含んでいて、何度かクスクスって笑ってしまう場面がある。敵に対してその余裕さが、またかっこよさを醸し出している。

このシリーズの面白さは、世界のいろんな都市を股にかけているところで、たとえば東京から大阪に移動するのと同じ感覚で、登場人物がワシントンやニューヨークからウィーンやロンドン、モロッコなどに移動する。そういうところも見どころかな。

それから、なぜかいつも運が味方するのも面白い。50/50の確率の賭けが主人公に味方するところ。

頭の中を空にして、何も考えずに見て、スカーッとなれる映画です。

モロッコでイーサン(トム)が、BMW(だったかな?)とバイクを乗りこなす場面は、誠にかっこよかったです。

2015/03/31

はじまりのうた (Begin Again)

映画「はじまりのうた」を見た。

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期待以上の映画だった。

グレタ(キーラ・ナイトレイ)が恋人デイヴに振られてもなんとか前に進もうとしていたし、グレタとダンがお互いに媚びていない。それに作り込みすぎていない。中盤からエンディングにかけてどのシーンもとても良い。もし自分を振った恋人を見返すというエンディングになったら、きっとこの映画を好きになれなかったと思う。けれど、どこまでもグレタがハートのある人物で清々しい映画に仕上がっている。


キーラ・ナイトレイが歌う曲は素敵すぎるし、ファッションも嫌味がなくて、とにかく彼女が輝いて見えた。

エンディングのデイヴ(マルーン5のヴォーカリスト。さすがに歌が上手いです)のライブシーン。音楽とともに映画を鑑賞するこちらも最高潮に気持ちが盛り上がり、どうなるのだろうと見守ってしまう。いい意味で予想を裏切るものだった。

久しぶりにニューヨークに行きたくなったなぁ。

「はじまりのうた」公式サイト

2014/12/15

「遥かなる山の呼び声」のこと

俳優 高倉健が亡くなった。そんなにたくさんの出演作品を見てきたわけではないけれど、好きな作品はいくつかあって、そのなかに「遥かなる山の呼び声」がある。学生時代からの親友がずっとずっと前にこの映画が好きと言っていて、そのことも、この映画を好きになった要素のひとつだと思う。(この子が好きという映画なんだから、きっといい映画に決まっている、といった感じです)

毎週月曜日に、Oさんという方からコラムのような、日々Oさんが思いめぐらせていらっしゃることを綴ったメールが、あるグループに送られてきて、わたしもその中に入れていただいているのだが、今日のメールに、その「遥かなる呼び声」について書かれてあったので、ここに紹介します。

Oさんは今年の3月まで某市の職員をされていて、大変お世話になった方。現役のときは、部長級なのに謙虚で、でも厳しく、信頼できる方で。わたしが以前、学内で一般市民と学生を対象にした映画の上映会を企画したときも、助言してくださったり、上映会に奥様と足を運んでくださったこともありました。

いまでも変わらず親しくさせていただいている。




ご本人の許可をいただいたのでご紹介します。

ラストシーン、わたしも何度見ても泣いてしまう。

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「量才録用」

高倉健さんの追悼番組が数多く放映されたようだが、中でも「遥かなる山の呼び声」は以前の勤務場所で上映会を行ったこともあり感慨深いものがあった。この映画は倍賞千恵子演じる民子三部作ともいわれ「家族」「故郷」に続くものであるとともに、「シェーン」から着想を得たことはあまりにも有名な話である。

物語は、零細牧場を営む未亡人の風見民子(倍賞千恵子)のところへ、暗い過去を背負った田島耕作(高倉健)が一夜の宿を乞うところから始まり、四季にそれぞれの出来事を織り交ぜながら、傷害致死事件に対する刑の確定を受けた耕作が網走刑務所に護送されるラストで感動的なクライマックスを迎えるものだ。

この映画の主人公はもちろん高倉健と倍賞千恵子なのだが、その脇役である虻田太郎(ハナ肇)が秀逸な役どころを演じている。民子に思いを寄せる虻田は田島と決闘を行い、やがて兄貴と慕うようになる。そして、護送される列車に田島を見つけると、声を掛けられない民子に代わって、彼女が酪農をやめて中標津で田島を待っていることを会話の中に織り交ぜて田島に聞かせるのである。

何度もこの映画は見ているのに、このシーンになると涙があふれてくる。それもこれも、虻田の存在なのである。いつも日を浴びる立ち回りをする人もいれば、誰かの陰に隠れてしまう人もいる。しかし、その陰に回る人がいなければ日の当たる人の存在もかすんでしまう。組織も人生もまた同じではないだろうか。

量才録用。人が持っているすぐれた才能をよく見はからって、その才能を十分生かす地位に登用することの意味だが、まさに適材適所である。そんな気持ちでもう一度、あたりを見まわしてみれば、また違う世界が見えてくるかもしれない。

2014/11/25

白夜のタンゴ

映画「白夜のタンゴ」を見た。

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実際にアルゼンチンで活動しているタンゴ奏者と歌手が、フィンランドで活動しているタンゴ奏者を訪ねて、フィンランドタンゴを理解していく過程をドキュメンタリー映画に仕上げている。テーマはとても単純で、結末も想像できる内容なのだが、はじめ自分たちの国のタンゴを自負している3人が、フィンランドの音楽家たちと交流していくうちに、音楽に上も下もないこと、発祥がどの国だなんてどうでもいいことなどを悟っていく。

フィンランド国内を旅する映画なので、個人的には一緒に旅行した気分を味わえるかと期待していたのだけど、映画の制作側はそのあたりはどうてもよいみたいで、彼らがどのあたりに滞在しているのかなどはよくわからなかった。でも、森と湖の景色やフィンランド人の家の中の様子なども少しうかがい知ることができたので、よかった。

映画についての詳しいことはこちら ⇒ 白夜のタンゴ公式サイト

映画とは関係ないけれど、サウナから出て湖に飛び込んで泳ぐという体験をしてみたい、フィンランドで!

2014/05/25

チョコレートドーナツ(Any day now)

映画「チョコレートドーナツ」を見た。

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いまでは同性愛も合法化され、市民権を得ているけれど、このストーリーは70年代。まだ偏見が根強かった時代にゲイカップルが親に見捨てられたダウン症の少年を家族に迎え入れるために行動を起こす物語。

ドラマ「ブラザーズ&シスターズ」でも養子を迎え入れるゲイカップルが出てくるのだが(これは2000年代のドラマ)、もちろんカミングアウトしていて、カップルの一人が法律家でそれなりのステイタスもあるので、手続きを踏んで養子を迎え入れることができている。そこにはゲイだからどうとか、という要素が一切ない。

チョコレートドーナツは、アメリカは(世界は)この30年間でこれだけ変わったのだということを理解させてくれる映画だった。もちろん、一気に起こった変化ではないはずだ。様々な戦いや活動が積み重なり、お互いを認め合う社会になってきたということなんだと思う。エンディングはいたたまれない気持ちになるが、少年の親になろうとした二人の本物の愛情が優しく折り重なって少年の魂にきっと安らぎをもたらしたと思いたい。


アラン・カミングが光っていた。

チョコレートドーナツ公式サイト

2014/05/18

ブルー・ジャスミン (Blue Jasmine)

ウディ・アレンの新作「ブルー・ジャスミン」を見た。

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映画の舞台はニューヨークとサンフランシスコ。個人的にはウディ・アレンにはアメリカで、特にニューヨークで撮ってもらいたいと願っていたので、やっと帰ってきてくれたという感じだ。前回見た(DVDで)「ローマでアモーレ」はどうしちゃったんだろう?と思うほどつまらなかったから、今回どうなんだろう・・・と思いながら、でもケイト・ブランシェットがオスカーをはじめ数々の賞を受賞しているので期待は大きかったと思う。

そして、あのウディ・アレン独特の要素がしっかり映画の主軸にあったことで、この映画監督の健在ぶりが確認できたのであった。

わたしなりに考える独特の要素とは、神経症の主人公(パニックになると息ができなくなる)、長いセリフ、ちょっと変わり者だけど大切なことは何かを知っている脇役(ブルー・ジャスミンでは主人公の妹)、人と人との偶然の出会いによるストーリーの変化、舞台になっている都市の街角の風景、そしてWアレン好みの音楽。

ただ、いままでとちょっと違ったのは、エンディングである。

Wアレン作品はセレブが主人公でも、そうでない場合でも、主人公は人生に絶望したり落胆したりしながら(それがコメディタッチで描かれている)、最終的には"take it easy"となるはずだが、ブルー・ジャスミンは深刻さを残したまま終わる。その深刻さが見る人によっては笑いなのかもしれないが、わたしには怖さだった。主人公がどんどん壊れていき、立ち直れない。

また、これまでの作品と違うのはアメリカの格差社会をテーマにしたところだと思う。比較的インテリ層の社会を描いた作品が多かったから。

ケイト・ブランシェットの演技は迫真に迫るものだったことは間違いない。

ブルー・ジャスミン公式サイト

2014/04/06

あなたを抱きしめる日まで

映画「あなたを抱きしめる日まで」を見る。

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未婚のまま10代で出産し、幼い子どもと引き離され、50年もの間息子の安否を気にしながら暮らしてきた女性の物語。テーマはとても重いのだが、ジュディ・デンチ演じる老女が明らかになる事実をひとつひとつ消化しながら展開するので、見る側の心も一か所に留まらず見進めることができる。

結末は意外だった。

息子を探すために同行するジャーナリストがちょっといい感じ。

アイルランドとワシントンが出てくる。

悲しいストーリーなのに主人公のひょうきんさにちょっと救われる。

ワシントンではリンカーン像も写るのだが、ここは一度行ったことがある場所。あの、リンカーンが椅子に座っている像はあのときと変わらず大きかった。

ワシントンはニューヨークから日帰りで観光したことがあり、地図を見ながら友人と二人で回ったので、すごく記憶に残っている。整然としているところが気に入ったし、タクシーで少し行くとジョージタウンという趣きのある大学の町もある。ものすごい寒さのなか(2月!)ポトマック川を歩いて渡りアーリントン墓地にあるJ.Fケネディのお墓にも行った。

話がそれたが、ワシントンが出てくるという理由もあり見た映画だったのだが・・・ 映画のなかでジャーナリスト役の俳優がポトマック川沿いをジョギングするシーンはあったものの、もう少しワシントンを見せてくれたらよかったのに、と思った。

「あなたを抱きしめる日まで」公式サイト

2014/03/27

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」を見た。

Nebraska

休暇が取れたので東京で映画を、と決めていて、「ネブラスカ」にするか「ランナウェイ・ブルース」にするか悩みに悩んでネブラスカに。

理由のひとつはそのタイトルによる。(だってネブラスカですよ)

アメリカ西部になぜだかとてもひかれる。荒野の哀愁を帯びた大地に点在する小さな町々とそこで暮らす人々について知りたい思いが強いところが自分にはある。

この映画はモノクロで、映画を見る前は、アメリカの景色をせっかく見られるのに、モノクロだなんて物足りないのではないかと考えていたが、いざ見始めると、あまりにも単調な景色や荒廃した町が、モノクロの映像を通して見せることでむしろ「特別化」していたように思えた。(あとから考えると、なのだが。そして、うまく説明できないのだが。)

この映画の一番は、父親役の俳優の名演技だった。インチキな類の通知を信じて賞金が当たったことをひたすら信じ、それがまるで命をつなぎ止めるための一滴の水であるかのごとくネブラスカのリンカーンに向かおうとする姿を、悲しいほどコミカルに演じている。そして、この名優のエンディングでの「心の動き」をわたしたち観客は決して見逃さない。すばらしかった。

そして、息子たち。特に二男が心優しい。老いてボケはじめた父であっても、敬意をもって接しているのだ。父の行動に対してやるせない気持ちになっても、父の立場や生きてきた時間を敬う気持ちが伝わってくる。最後に彼がとった行動は、父がなぜそこまでして賞金を手に入れたいのかを理解し、そのすべてを叶えてあげた魔法である。

母親は毒舌家。でも憎めなくて、終盤はこの人のことをきっと観客はみんな好きになっている。

旅の途中、一家が父親の生まれ育った家を見に行くシーンは特に心に残る。



モンタナ→ワイオミング→サウスダコタ→ネブラスカ

荒野、ハイウェイ沿いに時折現れる何かの看板、電信柱、モーテル、廃れかかった酒場・・・

わたしにとってのアメリカの原風景を見ることのできた映画。

Map


ところで、あんなに大きなコンプレッサー(空気圧縮機)を、一般家庭で一体何に使うのだろうか。映画では確か塗装とか言っていたけれども。コンプレッサーを持っていることって、古きアメリカの一般家庭のステイタスだったのだろうか。。



ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 公式サイト

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